12月2日のFBに、「もうあれから1年。面白かったね」と言う文言で、昨年12月2日にカワサキOBの有志達が立ち上げた「KX50周年を祝う有志の会」に関する投稿が流れていた・・・そうか、もう一年たったのだ。
カワサキの二輪車の中で、開発、生産、販売そしてレース活動を51年間も絶えることなく続けてきた唯一のモデルが”KXシリーズ”。1972年、技術部にレース車の開発運営を担当する開発1班が結成され、始めて名付けられたモトクロス専用車”KX”、その機種名を一度も変える事なく続いた51年間だ。こんな機種をカワサキでは他を知らない。言い換えれば、カワサキのリーディングモーターサイクルの一つと言っても過言ではないと思う。この懇親会、カワサキのレース活動やKX立上げに苦労された大先輩達がお元気なうちにOB会をやらねば後輩として後悔しないうちにと、それこそ「隗より始めよ」ではないが、始めたのが10年前、そしてとうとうKXは歴史ある50周年となった。
それは昨年の5月、日本の有名な専門誌「ダートクール」の浦島編集長とカワサキの広告代理店キャップスアソシエ―ションからメイルが来て、「KX50周年プロモーションの依頼をカワサキより受けたので、”KX誕生~進化について”、話を聞きたい」と連絡があった。その面談の際、「KX50周年懇親会」の計画があるなら参加したいとの申し出てがあった。過去、「KX40周年」「KX45周年」の節目に懇親会を開催し、その苦労も身に染みていたのでどうしたものかと正直迷っていた。街の中からも「KX50周年懇親会」を開催してほしいとの声も聴いていたが、80才にもう数年で手が届く後期高齢者を含むカワサキのリタイヤ元技術屋3人が発案・主催するにしても、手足となって動いてくれる現場がいないと会場設営を含めなんともぎこちなく不安に思っていた。そのぎこちなさに不安に感じた応援者のボランティア数人から申し出があり、実務を担当してくれることになった、所謂、前々回、前回同様に素人集団の「手作り開催」でスタートしたが、これがなんと孫もいる女性3人を含む一芸の優れ者ばかりで、それぞれの得意分野に奔走して、手や足の動きが遅い我々高齢主催者にとって大きな助けとなって、なんとか開催のめどがついたときは本当にほっとした。
この会は単に昔の仲間や仲の良い友達だけが集まって楽しむ会ではなく、「先人達の苦労があったからこそ今のKXがある、と言うのは間違いない事実で、その当時の技術担当者や関係者達がとった行動は今なお新鮮にして学ぶべき事が多い。これを語り続ける事」こそが有志の会の真の目的であったので、KX誕生からその過程で生まれた苦労話を駆けつけてきた昔の仲間が語ってくれたのは、多くの参加者にとっては新鮮な話題であったのは確かだと思う。
結果的に言うと、「会は大成功だったよ」と先輩諸氏を含む多くの参加者から頂いた。「KX50周年有志懇親会」の良かった点は、カワサキの最大の競争相手だった他社チームで大活躍した著名人、例えば吉村太一さんやHRCの元エンジン設計者、そして案内のFBを見て多くの一般の方が参加されたことだと思う。彼らからたくさんの祝言を頂いたが、かって敵として戦ったことなど何処に消えて、同志としてただただ嬉しいものだった。二輪ビジネスの世界では、レースが二輪ビジネスの頂点にいて、かつオピニオンリーダーであることは間違いない事実で避けては通れないものだから、共有する思いがあるのだろう。そして、この50周年の長い歴史を俯瞰するに「あの時のカワサキは頂点にあったよねとか、そしてリーディングカンパニーだったと言う事実は変えようがないよね」と言う声も多く聞こえた。しかし思うに、KX50周年懇親会に、こうしてかっての競争相手や一般の方が祝福に来てくれたという事実は、カワサキでKXを主体とするオフロード業務に従事した我々担当者や関係者にとっては何ものにも代え難い 嬉しい財産だと思う。この声は、会の中で実施したトークショーに参加したライダーからも、また多く聞かれた。今回も、カワサキの二輪部門が昔から長く企業活動指針としてきた「let the good times roll」 活動を具現化することができ、主催者の一人として嬉しいものだった。

「カワサキKXシリーズ50周年有志懇親会集合写真:撮影、フォトジャーナリスト高橋絵里」
今、アメリカの著名なモトクロス専門ネット誌「https://motocrossactionmag.com/」は、彼らがかって取材し雑誌に残してきた歴史を”アーカイブ”として度々紙面上に再投稿している。それをみると、「Motocross Action」誌が連綿として続けてきた、オフロード大国アメリカの歴史、言うなら世界の歴史そのものと、それを未来へと繋いでいこうとする思想と強い姿勢を読み取ることができる。「現在は決して我々の目的ではない。過去と現在はわれわれの手段であり、未来のみが目的である 」とはよく聞くが、スポーツ大国アメリカの世界は、例えば大谷選手達が活躍するMLBなどの記事を読むと、彼らの先達が活躍したMLBの歴史を重んじその上に未来へと繋いで行くんだという強い意志を感じることができる。「KX50周年を祝う有志の会」は地味な懇親会でほんの一握りの活動ではあるが、在野のOB達の活動を”アーカイブ”として先達たちと一緒に残すことができたことは、「Kawasaki let the good times roll」として楽しく愉快なもので、ホッとしている。