動脈瘤が消えた。
治療から1ヵ月過ぎの7日、MRI検査で1ヵ月前にはあった脳動脈瘤が消えた。これで生活は普通に戻り、運動制限も何もないと担当の専門医の処方となった。ただ、暫くは経過観察が必要との事で、次回は3ヵ月後、更に半月後とMRI検査で確認する必要あるとのこと。
毎年の胃の内視鏡と腹部エコーに加え3年毎の大腸ファイバーチェックを専門のクリニックで20年以上継続し、神戸市の健康診断と肺がん検診も毎年実施しているが特に不具合箇所はない。後期高齢者になったので、いままで実施してこなかった健康診断項目を検査してみようと、8月の初め、近くの専門の医院で脳ドックを実施した。すると、医者が言うに、脳は綺麗で何ら問題なしだが、未破裂脳動脈瘤が見つかった。自覚症状は全くなく、何が異常なんだろうと理解できずにいたが、一週間後、紹介状を書いてもらって専門の病院にでかけた。
複数の脳神経外科病院を紹介してもらい、車で約20分程の大西脳神経外科病院を選択した。一週間後、大西脳神経外科病院でも再度詳細なMRI検査を実施した。自覚症状は全くないのだが、医者に聞くと破裂する確率が約1%ぐらいはあり、毎年、その確率は増える恐れがあると言う。つまり破裂しない確率は99%だが、破裂すると、くも膜下出血を起こす可能性があるから治療したほうが良いと言う。治療のために8月中旬、2泊3日の検査入院した。ここではコロナ感染検査を手始めに、心臓エコーやCT、造影剤投入して血管撮影等を実施。未破裂脳動脈瘤などない方が良いとは思うが、知らぬが仏でそのまま放置し、突然皆に迷惑かけるような事態になる可能性も否定できずとなれば、自覚症状がない時に見つかってこれ幸いと9月末から10月初めまでの1週間入院することになった。
治療法は血管内手術という方法で、これは血管撮影と同じように股の動脈からカテーテルを入れ、これを脳動脈瘤の中まで持っていって形状記憶合金でできた(と医者の説明)プラチナのコイルを脳動脈瘤の中に押込めて動脈瘤を閉じ込め、内部を血栓化する。全身麻酔は点滴に蕁麻疹対策の薬を加えると何時の間にか眠ってしまい、気が付いたときは集中治療室のベットの上。時間は約2時間弱。自覚症状がないまま手術台に登り、自覚症状がないままICUのベットの上に横となっていたが、ここからが苦行の始まり。足の付け根 の動脈からカテーテルを挿入して治療するが、治療を終えた後はカテー テルを通した血管の穴を塞いで止血せねばならない。アンジソシール(あとで資料をもらった)で止血する。これは動脈の穴にアンカーを撃ち込み、引っ張り上げ、その上から丸棒できつく抑えつけて止血する。この間、アンジソシールのアンカーを撃ち込んだ右足の付け根を動かすのは厳禁。この状態を寝たままで15時間維持せよとの指示で、これがまさに苦行で相当にきつい。気が付くと血圧は160近辺まで上昇し脈拍は100を打つ。日頃の血圧は120前後、脈拍は64,5だから、その都度降圧剤を点滴に加えるとすーと下がるがまた上がる。これを15時間続けた。寝返り厳禁なので腰が痛くなって相当にきつい。15時間経過した時点でやっと体を動かすことが出来た。それでも急激な動きはしないようと言われたのでゆっくりと体を動かし、やっと座ることが出来たときは随分と楽になった。しかし約15分後ぐらいに、足の付け根が内出血でぷくーっと膨れた。看護婦を呼ぶと先程取り外した丸棒で再度患部を押さえつけ止血する。しっかりとテーピングしてこのままで更に5時間保持せよとの指示。また苦行の始まり。看護婦や医者に聞くと、止血が完璧にできず動脈から血液が漏れだし患部がぷくーっと膨らむことがあるとの事。看護婦と色々冗談を言い合いながら原因らしきを聞くと、なるほどと思った。止血が終わったと便所に行ってかがむと動脈の穴から血液が漏れ出しぷくーっと膨れた例もあると聞くと、今回の手術で一番大変だったのは、このカテー テルを通した血管の穴を塞く止血治療だった。脳動脈瘤はもともと自覚症状はないので気にもならないが、誰もいないときに内出血したらどうしようかと、動脈だけに相当に気になった。その後、一ヶ月経過後も問題ないのでうまく止血できたんだと思う。
手術後のベットの上では何もすることがない。
時間つぶしに、今回持っていった580ページの単行本(日本の戦争:田原総一朗)を読み終えた。今回担当してくれた看護師は、近くの看護師学校から来た実習の女生徒2名で、来年卒業との事。毎日3~4回、様子を見に来て、血圧(両腕を測る)、脈拍(2分間測る、脈の強さ問題なく、不整脈等もないとのこと)、患部の様子の聴き取りが終わると、都度聞くことは「名前は」「年齢は」「生年月日は」「この病院の名前は」と質問を受ける。最初はウッと思ったが、治療箇所が脳内なので、定型質問なのだろう。しかし、何回も質問されると、一瞬あれっ、何んだったかなと思う時もあった。本を読んでいると、少し話をして良いかとベットの近くにきて、血圧とはとか、20代前後の看護師に色々説教を受ける。彼女等の就職先は東京や地元に既に決まっていて、直ぐに看護士試験が待っているとの事。こんな事で時間をつぶし一週間の毎日を過した。
もともと自覚症状がないまま治療を受け、一ヶ月後、「もう心配ありません」と医者から言われても、そうかと自覚がないままに今は、野の池貯水池のジョギングコースに上がっている。