「RACERS Vol.46」「RACERS Vol46」への寄稿文・・その3/3
モトクロスの成功に思う
継続こそが最大の力なり
継続こそが最大の力なり
ところで、カワサキのレース活動の原点はモトクロスであることは周知の事実だが、加えてカワサキの二輪事業継続の決着をつけたのもモトクロスレース活動だった。モトクロスの大先輩達が二輪事業を救ったのだ。だから、レースを総括する立場だった一人としてはモトクロスを語らざるを得ない。
'93年から技術部のレース部門ではモトクロスとロードレースが再度同一班に所属し、8耐の実戦現場にも多くのモトクロス関係者が応援にでた。'80年代後半から始まり'90年代は、カワサキのモトクロスは黄金期にあったと言われる。 この時代は、カワサキが勝利にこだわる姿勢を明確に打ち出した時期に相当するが、カワサキのモトクロスレース活動が戦績を挙げ続けられた一番の要因は、ワークスチームが技術部の開発チーム内に所属し量産車の開発をも担当し、しかも確保たる収益を計上し続け、二輪の事業性に貢献し成功してきた歴史にあるだろう。カワサキMXのプレゼンスが次第に上昇してくると、常勝カワサキを維持し続ける必然性と責任に加え、いや負けるかもしれないという恐怖感も一緒になって自然と心中に沸き起こるもので、この恐怖感などは一度でもチャンピオンになった者でしか味わえないものだろうが、実際そうなってくる。
カワサキのワークスモトクロスチームは2013年に「KX40周年を祝う有志の会」を開いた。'72年に技術部にモトクロスとロードレースを総括する部門が組織化されて以来40年を迎えたので、モトクロスのワークス活動に従事した先輩諸氏から現役まで80名ほどが集まった。 黎明期の開発やレース活動で経験した辛苦や成功は次の世代へと引き継がれていき、その結果、40年にわたりカワサキのモトクロスビジネスは、一度たりとも開発を中断することなく、一度たりとも生産を中断せず、一度たりともレース参戦を中断することがなかった。カワサキのモトクロスでの成功の要因は、これに集約できると思う。
最も技術力を誇示できる場がレースである限り、その場で戦い、そして技術を進化させることがモトクロス開発担当者に植え込まれたDNAであり、これは変えようがないものだ。私は、これこそが”カワサキのレースイズム”の原点ではなかろうかと信じている。

以上を雑誌「RACERS」のVOL.46に投稿した。